「あの人を、本気で信じていた」——マッチングアプリやSNSで知り合った相手にすすめられるまま仮想通貨を送金し、あとになって連絡が取れなくなる。近年、こうした「ロマンス詐欺」のご相談が急増しています。海外では、相手を長い時間をかけて信頼させ、”太らせてから”だまし取ることになぞらえて「Pig Butchering(ピッグ・ブッチャリング=豚の屠殺)」とも呼ばれています(出典:Chainalysis)。
この記事ではロマンス詐欺がどんな流れで進むのか・なぜ人はだまされてしまうのか・もし送金してしまった後でも「できること」は何かを順番に整理します。結論からお伝えすると、送金してしまっても、資金の流れ(送金先)は追跡できる場合があります。だまされたのは、あなたが愚かだからではありません。諦める前に、知っておいてほしいことがあります。

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ロマンス詐欺の手口の流れ

ロマンス詐欺は、行き当たりばったりではありません。多くのケースが、ほぼ同じ「型」に沿って進みます。大きく分けると、①接触 → ②信頼構築 → ③投資誘導 → ④出金できず、という4つの段階です。この型を知っておくと、途中で「これはおかしいかもしれない」と気づける可能性が高まります。
①接触 →②信頼構築 →③投資誘導 →④出金できず
一つずつ見ていきます。
フェーズ①:接触 きっかけの多くは、マッチングアプリ・婚活サイト・Instagram・Facebook・X(旧Twitter)などのSNSです。「間違えて連絡してしまいました」を装ったメッセージから始まることもあります。相手のプロフィールは魅力的で、余裕のある生活ぶりを見せてきます。
フェーズ②:信頼構築 すぐにお金の話はしません。毎日こまめに連絡を取り、数週間から数か月をかけて、じっくりと恋愛感情や信頼関係を育てます。急がないことこそ、この手口の巧妙な点です。
フェーズ③:投資誘導 関係が深まったころ、「自分は仮想通貨の投資で成功している」「大切なあなたにも教えたい」と切り出します。誘導先は、相手が指定する特定のアプリや取引所サイト(多くは精巧に作られた偽サイト)です。最初は少額で”利益が出た”ように画面上で見せ、実際に少しだけ出金できる場合もあります。これで安心し、金額を増やしてしまいます。
フェーズ④:出金できず まとまった額を引き出そうとすると、「税金を先に払え」「手数料が必要だ」などと追加入金を求められます。応じても出金はできず、最終的に相手と連絡が取れなくなります。
投資型やSNS勧誘型など、ほかの詐欺とも共通する部分があります。詐欺の手口を全体で見比べたい方は、あわせて仮想通貨詐欺の手口一覧|だまされる仕組みと、追跡で見えてくることもご覧ください。
なぜだまされてしまうのか

「自分は大丈夫」と思う方ほど、注意が必要です。ロマンス詐欺は、知識の有無ではなく、”感情”の隙をつく手口だからです。だまされたことは、あなたの落ち度ではありません。相手は人の心の動きを知り尽くしたうえで、時間をかけて周到に設計してきます。
恋愛感情と「二人だけの秘密の投資」という心理
だまされてしまう背景には、いくつもの心理が重なっています。
まず、恋愛感情は判断を鈍らせます。信頼し、好意を寄せた相手を疑うのは、とてもつらいことです。「この人に限って」という気持ちが、冷静な確認を遠ざけます。
次に、「二人だけの秘密」という囲い込みです。「他人に話すと嫉妬されるから」「特別なあなただけに教える案件だから」——こうした言葉で、第三者に相談させないよう仕向けます。外部の目が入らないほど、手口は通ってしまいます。
さらに、フェーズ③の小さな”成功体験”が効きます。最初にわずかでも利益が出て出金できると、「これは本物だ」と錯覚してしまうのです。そして一度お金を入れてしまうと、「ここまで入れたのだから」と、惜しむ気持ちからさらに追加してしまう——いわゆるサンクコスト(すでに払ったお金を取り戻したい心理)も働きます。
時間をかけて信頼を築き、感情と論理の両面から逃げ道をふさぐ。これがロマンス詐欺の巧妙さです。
見分けるサイン

手口には共通のサインがあります。次のうち一つでも当てはまるなら、いったん立ち止まってください。むしろ、こちらを焦らせてくる相手ほど、疑う理由になります。警察庁が公表している事例では、「投資グループの先生の言うとおりにすれば必ずもうかる」といった言い方で、段階的に送金させる型が報告されています。同庁は「一度だまされると、詐欺と気付くまで、お金を何度も振り込んでしまい、1,000万円以上の高額被害になってしまうことも。」としています(出典:国民生活センター・警察庁の注意喚起)。
会わない/うまい儲け話/特定の取引所への誘導
具体的には、次のような特徴が挙げられます。
- ある程度親しくなっても、一度も直接会おうとしない/ビデオ通話を避ける
- 出会って間もないのに、お金や投資の話題が出てくる
- 「元本保証」「損はしない」「私だけが知っている特別な案件」といった、うますぎる儲け話を持ちかける
- 相手が指定する、一般には知られていない特定のアプリ・取引所へ誘導してくる
- 送金の手段として、仮想通貨を強くすすめてくる(足がつきにくいため)
- いざ出金しようとすると、税金・手数料などの名目で追加の入金を求められる
一つでも心当たりがあれば、送金する前に信頼できる家族・友人・専門の窓口へ相談してください。
家族・友人に相談できず孤立してしまう構造
ロマンス詐欺が発見されにくい最大の理由は、被害者が孤立させられる構造にあります。
前述のとおり、相手は「二人だけの秘密」という言葉で、あなたを周囲から切り離そうとします。加えて「恋愛でだまされた」という恥ずかしさや、「自分が選んだ相手なのに」という自責の念から、被害者自身も打ち明けにくくなります。
その結果、誰にも止められないまま送金が続きます。気づいたときには金額が大きくふくらみ、時間も経過している——というケースが少なくありません。そして、時間が経つほど資金は追いにくくなります。
だからこそ一人で抱え込まず、早い段階で誰かに話すことが何よりの防御になります。

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送金してしまった後でも資金は追跡できる

「もう送ってしまった。取り返しがつかない」——そう感じている方に、お伝えしたいことがあります。送金してしまった後でも、資金の流れ(送金先)は追跡できる場合があります。
警察庁や国民生活センターなどが発信する公的な情報は、性質上、多くが「予防」や「注意喚起」で終わります。被害にあった後の回復は難しいとされ(出典:金融庁)、上位に並ぶ情報の多くも、そこで話が止まってしまいます。
しかし、仮想通貨には現金にはない特徴があります。ブロックチェーン(取引を記録する公開された台帳)は誰でも確認でき、資金がどのウォレット(仮想通貨の口座にあたるもの)へ移動したかが記録として残ります。つまり、現金の手渡しと違い、”どこへ流れたか”の痕跡をたどれる可能性があるのです(出典:Chainalysis)。
総合探偵社みらいは、この「送金先・最終到達先の特定」を専門にしています。追跡した結果を調査報告書にまとめ、あなたが弁護士・認定司法書士や警察につなぐための入口を担います。返金請求や相手との交渉、被害届の提出そのものは、弁護士・認定司法書士・警察の役割です。私たちがお手伝いするのは、あくまで「送金先を追い、報告書にする」ところまでです。
ただし、正直にお伝えします。「必ず取り戻せます」とは言えません。資金が海外の取引所に流れたり、すぐに現金化されたりして、追跡が難しくなるケースもあります。そして、資金は短時間で次々と移動するため、初動のスピードが結果を大きく左右します(出典:Chainalysis)。それでも、諦めてしまう前に、「送金先を追う」という選択肢があることを知っておいてください。
送金先がどこまで特定できるのか、その技術的な根拠については仮想通貨詐欺の送金先は特定できるのか|追跡でわかること・わからないことで詳しく解説しています。
関連記事
- 詐欺の手口の全体像を知りたい方へ → 仮想通貨詐欺の手口一覧|だまされる仕組みと、追跡で見えてくること
- 送金先はどこまで特定できるのか → 仮想通貨詐欺の送金先は特定できるのか|追跡でわかること・わからないこと
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出典
- 金融庁 https://www.fsa.go.jp/ordinary/chuui/husyouseikanyuu.html:暗号資産(仮想通貨)に関連する詐欺・二次被害への注意喚起 https://www.fsa.go.jp/ordinary/chuui/kinyuuchousyokuinntou.html(被害にあった後の回復が困難とされる点)
- Chainalysis:ブロックチェーン上の取引は追跡可能であること https://www.chainalysis.com/blog/how-chainalysis-crypto-investigations-supports-cases//資金は短時間で移動し、初動のスピードが重要である点 https://www.chainalysis.com/reports/crypto-crime-2026//ロマンス詐欺(Pig Butchering)に関する分析 https://www.chainalysis.com/blog/pig-butchering-human-trafficking/
- 国民生活センター https://www.kokusen.go.jp/t_box/data/t_box-faq_qa2022_01.html・警察庁 https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/sos47/case/sns-romance/investment/(消費者庁 https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/caution/caution_001/):SNS型・ロマンス型の投資詐欺に関する注意喚起
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本記事は、情報提供を目的としたコンテンツです。
本記事の内容は、公開日時点の情報および一般的な知見に基づいています。
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