「送ってしまったお金は、もうどうにもならないのだろうか」——いま、頭が真っ白になりながらこのページを開いていらっしゃるかもしれません。まず、深呼吸をひとつ。パニックのまま動くと、かえって手を打ちにくくなることがあります。
お伝えしたいのは、被害に遭ったあとにやるべきことは、ある程度「決まっている」ということです。順番があります。①証拠を保全する ②送金先の追跡を相談する ③弁護士・警察へつなぐ——この流れに沿って、ひとつずつ進めれば大丈夫です。この記事では、その段取りを、専門用語をかみ砕きながらご案内します。慌てず、順番に。まずは全体像からご覧ください。

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【今すぐ】証拠を保全する

最初にやるべきは、証拠が消える前に手元へ残すことです。詐欺の相手は、やり取りに使ったアカウントやサイトを、ある日突然消してしまうことがあります。あとから「あれを保存しておけば」と悔やまないために、まずは記録を確保しましょう。難しい作業ではありません。スマホの画面を保存していくイメージです。
保全すべき証拠リスト
何を残せばよいのか、具体的にリスト化しました。上から順に、できるものから保存していってください。
| 証拠の種類 | 具体的に残すもの | ポイント |
|---|---|---|
| やり取りの記録 | LINE・SNS・メールのスクリーンショット | 相手のアカウント名・IDが写るように |
| 送金の記録 | 取引所の送金履歴、振込明細、送金画面 | 日時・金額・宛先アドレスが分かる形で |
| TXID(取引ID) | 送金ごとに発行される英数字の識別番号 | 追跡の「起点」になる最重要データ |
| 相手・サイト情報 | 相手の名前・電話番号、投資サイトのURL、アプリ名 | 画面ごと保存。あとで消される前に |
| 通話・音声 | 通話履歴、録音があれば音声データ | 日時が分かるように |
補足すると、TXID(ティーエックスアイディー)とは、ブロックチェーン上の送金ひとつひとつに付けられる「取引の受付番号」のようなものです。これがあると、そのお金がどのアドレス(送金先の口座に当たるもの)へ動いたかをたどる手がかりになります。取引所の送金履歴の詳細画面などで確認できることが多いので、探してみてください。
証拠は、スクリーンショットだけでなく、可能ならデータ(取引履歴のCSVなど)でも残しておくと安心です。なお、相手を今すぐブロック・削除したくなっても、保存が先です。消してしまうと、あとで戻せないことがあります。
【次に】送金先の追跡を相談する

証拠がそろったら、次は「送ったお金がどこへ向かったのか」を追う段階です。ここで、時間が大きくものを言います。暗号資産は、送金されたあとも次々と別のアドレスへ移されていくことがあり、動きが早いほど行方が分かりにくくなります。だからこそ、気づいた時点でできるだけ早く相談することをおすすめします。
何を渡せば追跡できるのか
追跡の出発点になるのは、先ほど保全したTXID(取引ID)と送金先アドレスです。この2つがあると、そのお金がブロックチェーン上でどのように移動したかを、専門のツールを使って可視化できる場合があります。
総合探偵社みらいではいただいた情報をもとに、送金先・資金の最終到達先を特定し、その結果を調査報告書としてまとめるところまでを担当します。「どのアドレスから、どこへ、いくら動いたか」を整理し、後述する弁護士や警察への相談で使える形にお渡しするイメージです。
なお実際にどこまで追えるのか、技術的にどんな仕組みで追跡するのかは、専門的な内容になります。詳しくは関連記事にゆずりますので、そちらもあわせてご覧ください。
大切なのは、完璧に情報がそろってから相談する必要はないということです。手元にあるものから相談していただければ、何が追跡に使えるかを一緒に確認できます。
なぜ「早く動く」ことが結果を分けるのか

「ブロックチェーンなんて素人には分からないし、海外に飛んだらもう無理では」——そう感じるのは自然なことです。ただ事実として、暗号資産の取引はブロックチェーン上に記録が残ります。資金の流れをたどれるという見方が、業界の専門機関から示されています。
たとえば世界各国の法執行機関などが利用する追跡ツールを提供するChainalysis(チェイナリシス)社は、盗まれた暗号資産の資金の流れは追跡できるとしています。資金は急速に移動するため、対応のスピードが重要である——という趣旨の見解です(出典:Chainalysis)。
これは、みらいが「追跡が専門」だと申し上げる根拠でもあります。もちろん、必ず追いきれる・必ず特定できるとは言えません。状況によって結果は変わります。それでも「もう海外に行ったから終わり」と諦めてしまう前に、たどれる見込みがあるうちに動く——その一点がその後を大きく左右します。

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【その後】弁護士・警察へ相談する

送金先を特定して調査報告書ができたら、次はその報告書を持って弁護士・警察へつなぐ段階です。ここから先の返金請求や被害届の手続きは、みらいではなく、弁護士・警察が主体となって進めます。報告書は、そのときの「材料」になります。
弁護士・警察、それぞれの役割
「弁護士と警察、どちらに相談すればいいの?」と迷う方は多いです。役割が違うので、整理しておきましょう。
| 相談先 | 主に担うこと | どんなときに |
|---|---|---|
| 弁護士(・認定司法書士) | 相手方への返金請求、示談交渉、法的手続き | お金の回収・返金を求めたいとき |
| 警察 | 被害届の受理、事件としての捜査 | 犯罪として届け出たいとき |
返金や交渉を求めるなら弁護士、事件として届け出るなら警察、というのが基本の切り分けです。金融庁も、騙されたと考える場合は警察へ・返金等を求める場合は消費生活センターや弁護士会へ、と案内しています(出典:金融庁)。
このとき、送金先を特定した調査報告書があると、相談がスムーズになりやすいという利点があります。「相手が分からない」状態よりも、「資金がここまで動いた」という具体的な材料がある方が、弁護士も警察も次の一手を検討しやすくなるためです。
どの相談先を選べばよいか・返金請求はどう進むのか、もっと詳しく知りたい方は関連記事もご覧ください。
→ 関連:返金請求の詳しい進め方 / どこに相談すべきか
やってはいけないこと

被害後は、「よかれと思ってやったことが、かえって状況を悪くする」場面があります。焦る気持ちは当然ですが、次の3つは避けてください。二次被害や、手詰まりを防ぐための注意点です。
相手を刺激しない・自分で交渉しない・放置しない
① 相手を刺激しない。「金を返せ」と相手に強く詰め寄ると、相手が警戒して、資金をさらに別のアドレスへ移してしまうことがあります。追跡の観点でも、そっとしておいた方が有利な場合があります。感情をぶつけたくなっても、まずは記録を残すことに集中しましょう。
② 自分で交渉しない。返金交渉は、法的な知識が必要な専門領域です。個人での交渉は不利になりやすいだけでなく、報酬を得て他人の代わりに交渉を行えるのは、弁護士など資格を持つ人に限られています。返金請求・交渉は、弁護士・認定司法書士へ。これは法律上の役割分担です。
③ 放置しない。「もう無理だ」と何もせずに時間が過ぎると、資金は分散し、追跡の難易度が上がっていきます。また、被害の内容によっては、権利を行使できる期間(時効)が関わってくることもあります。動くなら、早いほどよいのはこのためです。
そしてもう一つ。「お金を取り戻します」と、あとから近づいてくる相手に注意してください。金融庁も、被害回復をうたって接近し、さらなる被害(二次被害)を与える事例に注意するよう呼びかけています(出典:金融庁)。同庁は「金融庁職員が、電話や自宅を訪問し、口座番号や暗証番号、生年月日等の個人情報をお聞きすること、キャッシュカードをお預かりすることはありません。」「金融庁が口座を指定して振り込ませることはありません。」と明言しています(出典:金融庁「金融庁職員」等を装った詐欺等にご注意ください!!)。公的機関を名乗る連絡があった時点で、詐欺を疑ってください。うまい話には、いったん立ち止まりましょう。
被害を繰り返さないために

最後に、「同じ被害を二度と受けないため」の視点にも触れておきます。詐欺の被害に遭った方は、残念ながら「もう一度狙われやすい」立場です。理由と、気をつけるべき点を知っておくだけで、次の被害はぐっと防ぎやすくなります。
次に狙われないための注意点
なぜ再び狙われやすいのか。ひとつは、「被害者の情報」が出回ることがあるからです。一度お金を出した人の情報は、別の詐欺グループへ渡り、「今度は取り戻せます」という新たな誘い(=二次被害)に使われることがあります。
気をつけたいポイントは、次のとおりです。
- 「回収できます」「返金を代行します」と、先に費用を求める業者には応じない。正規の相談は、いきなり高額の前払いを求めない。
- 公的機関や有名企業をかたる連絡は、うのみにしない。名前を使われるケースがある。
- 同じ手口の被害情報は、SNSなどに安易に書き込まない。被害の詳細が、次の勧誘の材料にされることもある。
そして、相談先や調査会社を選ぶときは、「誇大な約束をしていないか」「料金が明確か」を落ち着いて見極めてください。信頼できる相手の見分け方は、関連記事でも詳しく解説しています。
関連記事
- どこに相談すべきか、迷ったら → 仮想通貨詐欺の相談先ガイド
- 送金先はどこまで追えるのか → 暗号資産の追跡は可能か
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出典・参考
- 金融庁|詐欺的な投資勧誘等にご注意ください! https://www.fsa.go.jp/ordinary/chuui/attention.html
- 金融庁|投資詐欺等に関する利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等 https://www.fsa.go.jp/receipt/soudansitu/advice03-2.html(被害回復をうたう二次被害への注意、相談先=警察・消費生活センター・弁護士会の案内)
- Chainalysis|The 2026 Crypto Crime Report https://www.chainalysis.com/reports/crypto-crime-2026/(ブロックチェーン上で資金の流れは追跡可能であること/盗まれた暗号資産は急速に移動するため、対応のスピードが重要であること)
- 金融庁・消費者庁・警察庁|暗号資産に関するトラブルにご注意ください! https://www.fsa.go.jp/news/r2/virtual_currency/20210407.html(暗号資産をめぐる手口・トラブルへの注意喚起)
免責事項
本記事は、情報提供を目的としたコンテンツです。
本記事の内容は、公開日時点の情報および一般的な知見に基づいています。
総合探偵社みらいの業務範囲は、送金先をたどる調査と、調査報告書の作成・納品までです。仮想通貨・銀行振込・決済アプリのいずれのご相談も承ります。返金交渉その他の法律事務は弁護士の業務範囲(弁護士法第72条)であり、当社では実施いたしません。
個別の法律問題については、弁護士等の専門家にご相談ください。
本記事の情報に基づいて行動した結果について、運営者は責任を負いかねます。
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